2012年9月、東京大学法学部・大学院法学政治学研究科に模擬法廷教室が新設されました。東京大学は日本の大学の中で法学部の歴史が最も古い大学です。 今回当社は、法学政治学総合教育棟の模擬法廷教室(1室)と普通教室(1室)にAV設備を導入させて頂きました。
本プロジェクトのポイント
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東大法学部・大学院法学政治研究科に模擬法廷教室が新設された
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本格的な模擬法廷教室に調和しながらAV機器が収納されている
アプローチ
法廷演習と通常講義の両立
模擬法廷教室は、以前自習室があった法学政治学総合教育棟4階フロアーを改装し、今回新たに設置されました。本教室設備を設計するにあたり、最も注力した点は『法廷演習と通常講義両方に対応するシステム作り』です。 教室自体も前方には法廷を再現した什器を配置し、後方には法廷の傍聴人席兼通常講義用席が約50席配置されています。
映像設備は裁判官席用に卓上型19インチ液晶モニターを3式、被告席・原告席用にスタンド型60インチ液晶モニターを2式設置し、教室半ばには法廷演習兼通常講義用として天吊型52インチ液晶モニターを2式設置してます。 これらのモニターには同一映像を提示します。法廷演習時には重要参考映像を、通常講義時には講義資料の提示が可能です。
マイク設備も法廷演習と通常講義両方に対応できるよう、実際の法廷で要求される秘話性と、講義で要求されるフレキシブル性に優れた赤外線方式のワイヤレスマイクを採用しています。 また、最もご要望の多かった使用可能なマイク本数も、最大で7本のワイヤレスマイクを同時利用可能にし、法廷演習時でも不便の無いよう設計されています。
本物さながらの法廷什器
東京大学では本格的な模擬法廷教室を設置するのが今回初めてということもあり、法廷を設計するにあたり、AV設備だけではなく什器デザインやレイアウトも先生方から数々のご要望を頂いています。 裁判官席も一般的な法廷が3~5人席に対し本教室は9人席と裁判員制度に対応した座席数になっています。
什器自体も重厚感のある木目調のデザインになっています。 法廷什器のうち当社が担当した書記官卓兼AV操作卓も周囲の什器と同一の仕上げ材を使用したり、背面スリット等のデザインを合わせることでAV機器が収納されているとは思えないほど調和が取れています。 実はこの書記官卓兼AV操作卓、ご提案当初は書記官卓とAV操作卓は個別になっていました。限られたスペースでの改修ということもあり、講義用座席数を優先した結果、書記官卓とAV操作卓を兼用する形となりました。
卓の天板には必要最低限のタッチパネルと外部入力パネルのみ設置し、その他の機器を全て卓内に実装することで、最大幅1680㎜×奥行610㎜の書記官卓としても充分な作業スペースが確保されています。 また、タッチパネル画面は以前AV設備を導入させて頂いた1号館教室のタッチパネル画面と同じデザインを用いているため、キャンパス内での操作性の統一も図られています。
今日、法学部の入学希望者や司法試験合格者が緩やかに減少傾向にあると言われておりますが、歴史ある東京大学法学部に模擬法廷教室ができたことにより、より実践的な演習を経験した学生達が司法試験に挑むことができるでしょう。 取材させて頂いた時は、本格的に模擬法廷教室として稼働する前でしたが、教室に入るだけで未来の司法官たちの白熱した法廷演習が想像できました。