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歴史が生み出す新たな集いの場

  • 教育施設

1968年に完成した東京経済大学旧図書館は、図書館建築のパイオニアと呼ばれた鬼頭梓氏による設計で、昭和43年度大学図書館としては初めての日本建築学会賞(作品)を受賞した建物です。2014年3月に図書館としての長年の役目を終え、「大倉喜八郎 進一層館 Forward Hall」として生まれ変わった。
1階には約320人を収容できる多目的ホールと、同大や大倉喜八郎氏にまつわる史料展示コーナーが新設、地下1階には校友センター事務室、卒業生らの懇談スペース、会議室、そして地下2階にはCSC(キャリア・サポートコース)事務室とその専用教室が設置され、学内外関係者の集いの場となるような特別な施設となっています。
今回は、その中でもメインとなる多目的ホールのシステムについて紹介します。

本プロジェクトのポイント

  • 旧図書館が「大倉喜八郎 進一層館 Forward Hall」として生まれ変わった
  • 1階には約320人を収容できる多目的ホールが新設された

アプローチ

建物正面 大倉喜八郎氏の銅像
大倉喜八郎氏にまつわる史料展示コーナー

既存建物を活かし多用途に応えるシステム

柱が1本も無いという特殊な構造、かつ、正面の幕が開くと緑の木々が顔を覗かせシックな印象から心和む印象へとガラリと変わります。そんな意匠的にもこだわられた開放的な空間をそのまま活かすかたちで本改修は進められました。意匠性を保つのは勿論のこと、波打った天井やガラス壁と環境も特殊であるため、音響にも配慮が必要でした。関係各社様にもご指導いただき、メインスピーカーやはね返りスピーカーは露出させずに天井内に工夫して設置し、スピーカー角度や音圧を調整しながら空間デザインの一助に努めました。

柱の無いホール内
天井に埋め込まれたスピーカー

一方で、本ホールは運用面での配慮もなされ、様々な利用シーンを想定し設計されました。学会、学外向けイベント、楽器演奏、ときには授業利用など多岐にわたる用途に対して、AVシステム側も応えられるようにと様々な工夫が施されています。例えば、ステージ中央に設置された170インチスクリーンは2方式の利用が可能です。有効面全体への映像提示を行えるだけでなく、限られた天井高の環境の中、パネルディスカッション等を行う際には、映像がスクリーン上部に120インチ程度のサイズにて投影できる仕組みがとられています。こうすることで、スクリーン前に着席しても人物に光源がかかることなく映像提示が可能となります。

また、音響設備では、同時通通訳用機器が利用できるよう接続パネルの用意をはじめ、楽器演奏等に配慮しモニタースピーカー等持込のスピーカー接続も可能となっています。各種マイク(ワイヤレス6本/有線6本)音声についても、様々な用途に対応できるよう1本ずつ個別に音量調整が可能な仕組みとなっています。ちなみに、ワイヤレスは800MHz帯デジタルワイヤレスマイクが導入され、既存設備への飛び込みのリスク回避のため、干渉の恐れのある既存800MHz帯利用部屋全室にて調査・調整の上、納品が行われました。そして、操作部についても、話者によるステージ上AV卓、オペレータによる調整室AV卓両方での操作が可能なシステムとなっています。

管理面への配慮も

教室というカテゴリーに属す部屋ではないものの、授業での利用も想定されていたため既存教室同様の操作性を可能としています。ICカードでのシステム起動も可能です。また、調整室側は施錠が行えないため、AV機器はすべて卓内など施錠できる環境に納まるよう設計されています。また、卓扉の施錠忘れ防止策として、卓扉が閉まっている状態でないとシステム終了が行えないようにするなどの工夫もなされています。

オープン後間もなく開かれたホームカミングデーでも卒業生方がたくさん訪れ笑顔が溢れたそうです。本取材後も同ホールの利用頻度は高いそうで、ますます多くの方が集う未来に向けた「特別な場所」となっていきそうです。

※日本建築学会賞(作品)

建築に関する学術・技術・芸術の進歩発達をはかるとともに、わが国の建築文化を高める目的で、建築に関する特に優秀な業績を表彰します。その中でも「作品」部門は、近年中、国内に竣工した建築(庭園・インテリア、その他を含む)の単独の作品であり、社会的、文化的見地からも極めて高い水準が認められる独創的なもの、あるいは新たな建築の可能性を示唆するもので、時代を画すると目される優れた作品が対象とされます。

受賞者:鬼頭 梓
業績名:東京経済大学図書館・研究室
賞 名:昭和43年度 日本建築学会賞(作品)

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