1964年10月、日本の高度経済成長のアクセルとなった初の東京オリンピックが開催されました。そして、その1か月程前に、実に全長577mもある駐車場が東京・銀座の外堀通り地下に誕生しました。JR新橋駅近くから数寄屋橋交差点まで続くこの『西銀座駐車場』は地下1、2階に800台の自動車が駐車でき、この半世紀に渡って新橋~銀座~有楽町界隈の発展を陰で支えてきました。
東京オリンピックをきっかけにこのような大規模な地下駐車場が整備されたそうですが、買い物客だけでなく営業や搬入等を行う業者や上客を待つ高級車両まで、年中通してたく さんのお客様に利用されています。
本プロジェクトのポイント
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65台全てのカメラ映像を中央管理室にあるモニターに表示
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防犯や記録といった監視機能だけでなくお客様へのサービスも向上
アプローチ
今回、施設内にある既存の監視カメラシステムをデジタルHD対応のシステムに全面リニューアルしました。65台(うち固定式24台、ムービング式41台)の全てのカメラ映像を中央管理室にあるモニターで分割表示し、手元で拡大表示する映像を選択したりカメラの操作などができる設備になっています。
操作画面は2つの画面から選択して操作できます。1つ目は、マップ上のカメラアイコンを選択してカメラを選択(カメラ映像からカメラがどこを写しているか判断できない時に使用する)、2つ目は、分割表示画面の画面区割りと同じ割付のカメラ名称と番号で選択する方法が可能となりました。
本来はマップからカメラを選択する お客様が多い中、銀座パーキングセンターのスタッフは場内のカメラ位置が更新されてもカメラ映像からカメラがどこを写しているかを逸早く把握し2つ目の画面で素早い切り替えを行っています。手元モニターには精算機のインターホンと連動して自動で画面が切り替る機能がありお客様対応に役立っています。全てのカメラは24時間30日間分の録画を行っておりトラブル時などの振り返りに役立ちます。
以前の設備では固定式のカメラが45台、ムービング式が16台でしたが、1台のカメラであるところまで追いかけて、それ以降は別のカメラで追いかけるということもマニュアル操作で使い辛く追尾も大変だったそうです。
改修後のカメラ台数は4台増と僅かですが、設置位置の見直しを全箇所行い必要とするアングルやカメラ形式を再構築しました。1台ずつのカメラ性能が上がった事により1台でカバーできる範囲も広がりました。操作画面も大きくなり、選択スイッチにカメラ名称、カメラ番号、インターホン番号と必要最小限の情報を記載し又電動と固定カメラのスイッチ色を変えてあるので選択しやすい画面になっています。
System feature
- 既存の同軸配線を有効利用しながらIPネットワークを構築
- デジタルHD対応の高画質カメラ映像で現場状況を詳細に把握
- レスポンスのよい操作性、録画設備で運用をバックアップ
西銀座駐車場を運営されている株式会社銀座パーキングセンター 松澤壮 一社長、松岡豊主任にお話を伺いました。
「今回の設備リニューアルの目的は大きく分けて2つありました。一つは、防犯や防災、記録といった監視における機能性の向上。もう一つは、その上で “お客様へのサービス” を向上することです。外から見えにくいかもしれませんが、従業員の接客対応、例えば場内で困っているお客様がいたらそれをいち早く発見し、直ぐに対応する。精算機にインターホンやカメラを設置することで、今までは困った際に呼ばれて受身的に出向くことしかできませんでしたが、今では困っている様子が分かると、こちらから問い掛けをしています。突然、声を掛けられて驚かれるお客様もおられるくらいです」
「場内は広く、たくさんの車両を停めることができますが、メリットばかりではありません。スタッフは、自転車で場内を移動します。端から端まで577mもあるので大変です。新しく導入した設備のカメラ映像を見たのですが、数百メートルも離れた車のナンバープレートもはっきり映っていてビックリしました。カメラ映像を確認するだけで迅速に状況把握ができます。またカメラ映像は、小さな事故など何かあった際の検証や証拠としても使われますので、鮮明な映像が残ることは予想以上にメリットがあります。今回のシステム導入が、お客様へのサービス向上に繋がっていると実感しています」
新しく導入したマッピング機能など、使いやすさ、それぞれの機能が格段に上がったことを本当に喜ばれていました。
「今回の改修工事において、当初は古い監視カメラシステムだったのですが、たくさんの提案のほとんどがLANケーブルを使う提案が多い中、既存の同軸ケーブルをつかってもらいたかった。その点で映像システムのチームが本当に頑張ってくれました。その中でも特にプロジェクトマネジメントという点で御社の鳥海さんに本当にここまでやってくれるのか、というほど毎日来てくれて、工期の遅れも無くこれだけの工事をスムーズに進めてくれ大変感謝しています。それで管制制御室の扉裏に頑張ってくれた方々の写真を貼らせてもらいました」
2020年、再び迎えることとなった世界的スポーツの祭典、東京オリンピック・パラリンピック。西銀座駐車場は、この祭典を下支えするだけでなく、更にその先も都心の重要なインフラとして活躍し続けます。